YOCO ORGAN・0081の視点から見る、
ローカルシーンを「続けていくこと」と「繋げていくこと」

Interview with 0081 from YOCO ORGAN
インタビュー・テキスト: Spice Up the Life

普段集まらないメンバーで作った、メチャメチャ貴重な曲です。

――率直なところ、僕らも「よくこんな状態で引き受けて頂けたな」とは思っていました。

0081 制作を進める難易度も考慮して、声を掛けたメンバーはそれぞれユニットでも活動している、みんな“金沢を代表するMC”と言っていいラッパーです。あの頃はもうみんなが「家に籠ってひとりぼっちでいるしかない」という状況だったので、“ひとりでも作れる”という強さが必要でした。余談ですが、アーティストとしてもこの部分が一番試されていた時期だったんじゃないかと思います。
そういう意味でラッパーは、誰もいなくても音楽ができるからうってつけではあったかなと。バンドとなると、どうしても集まらないと…という側面は大きいみたいですからね。

――当初から「NINGEN OKにトラックを作ってもらいたい」というご相談をさせて頂いてましたが、難しいことをお願いしていたわけですね。

0081 そうだと思います(笑)

――今更ですが、申し訳ない…(苦笑)

0081 いやでも僕も、ちょっと簡単に考えていた部分もあって…依頼を最初に伝えた時、ある種NINGEN OKの方が僕たちよりその時の状況に影響を受けていた印象でした。確かにバンドという形態にとって、“集まれないこと”は思った以上に大きなショックですよね。

NINGEN OK - live at social (2019/11/02)

――さっきおっしゃっていた、“ひとりで作れるか“ということにもつながる観点ですね。

0081 そうですそうです。でも、そんな状態でもNINGEN OKは引き受けてくれたんですよ。彼らがまず、ゴールデンウィークくらいにトラックを録音してくれたんです。
その後で上がってきたものをチェックしながらやり取りしていた際、追加で録り直して複数テイクから選ぶかどうか…という議論があったんですが、その時も僕はまだ彼らの感覚が分かってなくて。結構簡単に「楽曲のクオリティを上げたいし、録り直せそうなら」と思ってたんですが。
でも、“その瞬間の空気感”というのはあるし、単純な話ではないんだなってのは、彼らとのやり取りの中で勉強になりました。テンションを合わせていくことの難しさと言うか。

――比べられるものかは分かりませんが、今回のことで受けた衝撃はバンド形式の方々の方が大きかったんですかね。

0081 …多分そうかもしれないですね。例えば自分がひとつの楽器だけ弾けたとして、曲が作れることとは違ったりしますしね。
でも、そういった中でもNINGEN OKは快諾してくれて、すごく良いオケをくれたんです。でも今だから言いますけど、オケをくれた段階ではまだ彼らもピンと来てない感じだったんじゃないかな。

――何に対してですか?

0081 曲自体に対して…もしくは、「これがどうなるのか」っていう部分について。だからこそ、ラップを録って送り返した時にはものすごく喜んでくれてたと思います、滅茶苦茶。

――それはすごく嬉しいことですね!

0081 「すごく良いものになった」と。ケンイチ君(NINGEN OK)なんか、もうその後で急にブラッシュアップした別ミックスとかも送り返してくれて(笑)完成版に使っているトラックです。
…まぁそういう感じなので、その辺の相互理解というかコミュニケーション部分でも、顔を合わせて進行できないことの難しさはあったのかなと。

――楽曲をどの様に作っていくか、それに付随する難しさも様々だと思いますが、0081さんにとってはどうでしたか。

0081 うーん…まずそもそも一緒にやったことがない、相互には一度も会ったことがない相手もいるメンバーだったというのが。特にNINGEN OKは、他のラッパーに関しては「名前は知ってるけど、会って話したりしたことはない」という状態でしたしね。
ラッパーチームにしても、あのメンツ全員が一斉に顔を合わせるっていうのは、竪町(※PV後半のロケ地となった金沢の繁華街)でPV撮影した時が初めてくらいじゃないですか。

――そうだったんですか!

0081 もちろん個別にはやり取りもありますし、「この中の数人」とかいうレベルだと比較的一緒にいたりすることも多いと思うんですけど。

――そういえばJony the Sonata(addginjahzz)、フェニックス君(t. kawada as PHOENIX)、milkyheadone(addginjahzz)にJIROW WONDAという取り合わせは、以前話題になった《Devil’s tongue(KNZW Remix)》の参加メンバーの方々でしたよね。

【MV】Devil's tongue (KNZW Remix) / milkyheadone, Jony the sonata, MAS, KENT

0081 そうそう。ぶっちゃけ、PERUTANIがレアキャラですからね(笑)まぁ世代も少し違ったりしますし。でもそれでやれたってことは、少しは僕らのことも信用してくれてるのかな、とは思うんですけど(笑)…そういう部分の旗振り役というか、例えば僕らが声を掛けてNONSTOP BUS(※YOCO ORGANがオーガナイズし、金沢で行っていたアニュアルイベント)みたいなイベントをやってきたという実績というか、経験もありましたし。これに限らずこういう企画って、最終的には「誰が音頭を取ってるか」という“人の話”になる面はあると思ってます。そういった意味で、企画を持ちかけた時にポジティブに捉えてくれたのは僕としても有り難かったし、あとやっててすごく楽しかったです。

YOCO ORGANが主宰していたNONSTOP BUS

――そういう風に言って頂けると一番嬉しいです。

0081 みんな楽しかったんじゃないかな…あの人数でいつもやらない人たちとマイクリレーをすることって、そうはないので。YOCO ORGANにとっても。

――結果としては、かなり貴重な曲ができたんですね(笑)

0081 メチャメチャ貴重だと思いますよ!竪町であのメンバー全員が談笑してるとか、僕の中では奇跡に近い(笑)でも本当に今のコロナの件が落ち着いたら、いつかあのメンバーでこの《Spice Up the Life》をステージ披露する現場があってもいいんじゃないかな、って思ってます。面白い機会でした。